店舗のれん、デザインだけでなく材質にもこだわりを

和系居酒屋や和食系のお店の入口に下げられているのれんを気にしたこと、ありますか?あれはお店の看板や目隠しのために使われています。大きさやロゴ、色、生地に至るまでそのお店のこだわりが個性となって表れています。一言に“のれん”と聞くとこののれんが真っ先に頭に浮かぶのではないでしょうか。実は目にする機会が多いだけで、のれんには他にも種類があります。もともと日よけや塵除けに使われていたものが、様々な形で変化を遂げています。

一番見かけるのは飲食・店舗用ののれんでお店の看板のような役割を果たしているものが多いです。ロゴや商品のイラストなどデザインを工夫することによって店の雰囲気が一目で伝わります。次に、外ののれんに対し、飲食店の中で使われていることが多い仕切りのれんです。これは居酒屋などで半個室タイプの席がある店で見かけることがあります。完全個室まではいかないけど、仕切り一枚挟めば案外気にならない場合も多いです。部屋のインテリアの一部にも使えたりと、意外と活躍の場を見せてくれます。そんな使い方の一例ですが、楽屋のれんなんかはそうですね。一般ではあまり目にすることは無いですが、芸能人やアーティストなどが控える楽屋にかけるもので、ファンからのプレゼントも多いそうです。表舞台へ上がる、あるいは戻ってくるときそののれんを一目見るだけで、モチベーションに繋げてくれる役割を果たすそうです。

デザインを重視するのはもちろんですが、材質にもこだわりをいれているところも少なくはありません。みつる工芸さんのオーダーのれんなどがそうです。みつる工芸さんは濡れても伸びず丈夫で上質な麻を使ったり、柿渋染めという青柿をすりつぶした果汁を刷毛で塗ったり、浸して染める手法を使っています。青柿の果汁は薄緑から発酵により濃い茶色へと色を変え、何回も塗り重ねることで化学染料では出せない独特の風合いになります。また染色には大量の水が不可欠ですが、水道水ではなく天然の山水のみを使っているのもこだわりです。天然素材でなおかつ使いこむことによって味を出すのれんの魅力を味わいたいのなら柿渋染めののれんはおすすめです。